大会長 長峯 正典
(防衛医科大学校 防衛医学研究センター 行動科学研究部門 教授)
このたび、第25回日本トラウマティック・ストレス学会学術総会を開催するにあたり、会長として一言ご挨拶申し上げます。
本学術総会のテーマは「トラウマ治療の実装に向けて-現状と課題-」です。
近年、トラウマに配慮した支援の基本理念である「トラウマインフォームドケア」は、日本においても徐々に普及し、教育・福祉・医療など多様な現場に広がりを見せています。こうした進展は大変心強いものですが、その一方で、専門的なトラウマ治療を安定的に提供できる医療機関はいまだ限られており、真に支援を必要とする方々に十分な医療を届けられていない現状があります。
この課題に真正面から取り組むためには、臨床実践に加え、教育・研修、政策、研究といった多方面からの協働が不可欠です。本学術総会では、国内外の最新の知見を共有するとともに、現状の問題点を多角的に検討し、専門的なトラウマ治療を社会に実装していくための具体的な方策を、参加者の皆さまと共に探ってまいりたいと考えています。
基調講演では、トラウマ治療の重要課題の一つである「逆境的小児期体験」について、この領域の第一人者である藤原武男先生(東京科学大学)にご講演いただきます。教育講演では、米国にてトラウマ心理療法を実践しておられる服部信子先生から、米国におけるトラウマ治療の現状についてご紹介いただきます。他にも、トラウマ治療に関連する数多くの興味深いシンポジウムを予定しております。
本会が、臨床に携わる方々にとって有意義な学びと交流の場となり、また今後のトラウマケアの発展に資する契機となることを願っております。多くの皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。